研究会について

サルコペニア(sarcopenia)とは、加齢に伴って筋量や筋機能が低下する現象です。その罹患率は男女ともに60歳を境に急激に増加することが明らかになりました。日本ではサルコペニアによる「要支援・要介護」認定者は年々増加する一方であり、今後の介護保険料や医療費負担のさらなる増加が危惧されています。

 

このような現状の中、高齢者の筋機能の低下を予防・改善する担い手として、フィットネススペシャリスト、パーソナルトレーナーに対して期待が高まっております。

 

この度「サルコペニア克服プロジェクト」として、サルコペニア研究の第一人者である安部孝先生(インディアナ大学客員教授)の元、 パーソナルトレーナーが一致団結して、最新エビデンスに基づくサルコペニア運動処 方を実践・ 展開するプロジェクトを「サルコペニア克服プロジェクト研究会」として発足する運びとなりました。

 

ご参加いただいた方々ともに活発な意見交換のできる場としたいと考えております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

 

サルコペニア克服プロジェクト研究会 会長代行 栗田興司 (PCP)

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「サルコペニア克服プロジェクト研究会」発足に際して

研究会会長 安部 孝(ミシシッピ大学客員教授)

 最近、興味深い論文が公表された。

 染色体末端を保護する働きをもつテロメア (telomere) の長さに関する研究である。
半世紀ほど前、ヒトの体組織から取り出した培養細胞では分裂回数に制限があり、
ある回数を超えると細胞は増殖を停止し、細胞の老化状態を迎えることが知られていた。

 テロメアの長さは、この細胞分裂の回数に関与していると考えられている。
今回の研究 (Venturelli et al. Clin Sci 2014;127:415-21) では骨格筋の老化・減弱とテロメア長との関係が検討され、下肢筋群のテロメア長は暦年齢とは明らかな関係を示さないが、身体不活動とは密接な関係を示した。

つまり、だれでも年をとれば筋が減弱してくるのではなく、高齢者でも活動不足の者だけに筋の老化は発生するらしい。裏を返せば、高齢者でも適切な身体活動が確保されていれば、筋の若さは維持できることになる。

問題は「身体不活動」にならないために「どんな運動やスポーツ」を「どの程度」実践すれば良いのかである。
どんなスポーツや運動でも実践さえすれば、希望する効果が確実に現われ、それが健康に結びつくというものではない。

 過激すぎる運動は呼吸循環系に多大な負担を与え、逆に健康を害することにもなりかねない。
不適切な運動負荷は、強すぎれば筋や関節の障害を招き、逆に弱すぎれば期待される効果は現われにくい。

 運動経験や体力レベルに大きな差がみられる高齢者に適切な運動指導を行うためには、運動やスポーツを実践するうえでの正しい知識をもつことはもとより、最新エビデンスに基づく運動指針を共有する必要がある。

今回のプロジェクトによって得られた知識や経験が今後の高齢者指導に役立ち、ひとりでも多くの元気な高齢者がうまれ、それによって地域が活性化されることを切望する。

意欲に満ちた多くの指導者の今後の活躍に期待したい。

 安部 孝(ミシシッピ大学客員教授)  2014.7

 

 

 

会則

サルコペニア克服プロジェクト研究会 会則(2014.7.14版:PDF)

 

運営者

[会長]

安部 孝(あべたかし)、PhD

1958年、山形県生まれ。博士(医学)。1986 年 東京大学教養学部  助手、1995 年 東京都立大学理学部 助教授を経て、2000 年 東京都立大学大学院理学研究科 身体運動科学専攻 教授。2006 年 東京大学大学院新領域創成科学研究科 特任教授。2011年 オクラホマ大学客員教授。2012年ミシシッピ大学客員教授。2013年インディアナ大学客員教授。著書に『サルコペニアを知る・測る・学ぶ・克服する』 (ナップ社 2013、編著)、『これからの健康とスポーツの科学 第3版』(講談社 2010、編著)、『トレーニング科学 最新エビデンス』(講談社2008、編著)、『日本人の体脂肪と筋肉分布』(杏林書院1995、共著)、などがある。

 

[会長代行]

栗田 興司(くりたこうじ)  MSc(スポーツ健康科学)

フィットネスコーチ、パーソナルトレーナーとして、プロスポーツ、大学・ジュニアスポーツ、高齢者フィットネスと健康スポーツ分野において幅広い領域で活動。指導者視点での研究活動と研究者視点での現場指導を実践。大阪市長居のパーソナルトレーニング専門施設「PCP」代表。東亜大学大学院スポーツ総合学術研究科スポーツ健康科学博士課程。MSc

 

[事務局]

PCP(フィジカルコンディショニングプロダクション合同会社)

大阪市長居のパーソナルトレーニング専門施設
http://pcp1996.com/

 

 書籍案内

book1「サルコペニアを知る・測る・学ぶ・克服する」
安部 孝 (著), 真田 樹義 (著), 尾崎 隼朗 (著)

出版社: ナップ (2013/2/26初版)

内容紹介
■わが国では人口の高齢化が進み,65歳以上の高齢者が総人口の24%を占めるまでにいたったが,「要支援・要介護」認定者の割合も年々増加し,2010年の認定者数は65歳以上高齢者の6人に1人となっている。
■加齢に伴って無意識のうちに起こる筋量・筋力の減少を『サルコペニア』と呼ぶ。近年,この分野の研究は爆発的に増加し,多くの優れた知見が公表されるようになった。
■この有効な最新情報を多くの方々に伝えることは,サルコペニアが主因で起こる身体機能障害の予防や改善に大いに役立つものと期待できる。また,若い時のライフスタイルは将来,高齢期を迎えた時のサルコペニア予防に重要な意味合いをもっている。
■本書では,サルコペニアの予防・改善策として栄養改善と実施するスポーツや身体運動の効用に関して,最新の研究成果を交えながらわかりやすく,具体的に解説するよう試みた。

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